
長崎の地には、静かに語りかけてくる記憶があります。 宮崎にとってこの場所は、妻の両親の故郷であり、親族の多くが原爆で命を落とした土地でもあります。 それでも、時が流れ、世の中が落ち着いた頃から「いとこ会」が毎年開かれるようになりました。 人々は集い、語り、笑い合いながら、失われたものの先にあるつながりを確かめていたのです。
宮崎はそのたびに長崎を訪れ、延泊しては写生を重ねました。 描かれているのは、風景の奥にある人の記憶と、再び歩み始めた日々の光です。
香焼島の造船所は、戦後の急激な発展を象徴する場所でした。 鉄と海と空が交差するその風景には、近代化の息吹と未来への意志が感じられます。 過去と現在が交差する長崎の地で、宮崎の筆は静かに、しかし確かに時代をなぞっていきました。
この作品には、喪失と再生、記憶と希望が折り重なっています。 それは、見る人の心にも静かに触れ、時代を越えて語りかけてくるような余韻を残します。