初心者・独学でもわかる!学校現場の課題とICT化の限界-教育案件が増えない理由
学校は保守的だからデジタル化が進まないというのはウソ

「教育業界で案件を受けたいけど、なぜ教育ICT化が進まないのか分からない…」 そんな教育分野に関心のある独学者やフリーランス制作者に向けて、この記事では学校現場の実態と教育案件が増えない理由を、現場目線でわかりやすく解説します。
教育ICT化が進まないのは、単に「保守的だから」ではなく、制度・予算・現場の意識・マネジメントの問題が複雑に絡んでいるからです。 本記事では、以下のようなテーマを掘り下げて紹介します:
- 学校行事や業績評価が改革を阻む構造
- 教職員の意識と職場文化の壁
- ICT導入の予算・教材・人材不足
- 教育アプリや教材が売れない理由
教育業界での制作・提案・企画を考えている方にとって、現場の課題を理解することは必須です。ぜひ参考にしてください。
「ぼくら」の失敗談
・学校現場のICTに対する課題が多すぎて、授業を工夫・改善できる教職員の数も少ないため、半ばあきらめていた。⇒ICT教育のための研修会を率先して行い、教職員の資質を高める努力をもっとすべきだった。
・現場が求めるICT環境とは違うところに多額の予算が使われており、費用対効果が低すぎる。⇒スマイルゼミ、マインクラフト教育版など優れた教材もあるが、企業の現場に対するアプローチもなく、予算の使われ方と現場にミスマッチが生じている。
学校行事が改革を阻む構造的な問題
ブラック化していると言われる理由の一つに、教職員の多忙さがあります。それは、学校行事や児童会活動などの精選が進まないからです。昨年度実施した行事等は、翌年も同じようにやり続けることが多く、さらに誰かが発案した新たな行事が加わって、精選どころか肥大化しています。どれも教育的価値があるものばかりで、やめるにはそれなりの理由と覚悟が必要なのです。
教育現場に業績評価がはいり、ますますやめることが難しくなっています。「やめよう!」と提案できにくい状況です。やる気がないと捉えられるような意見を教職員が言い出しにくくなっています。わざわざリスクを背負ってまで改革しようとする教職員がいるでしょうか…。
教職員の職場文化と改革意欲のギャップ
次に、ある行事の係になったら、きちんとしたものに仕上げないと業績評価が下がります。保護者うけも悪いです。そうならないよう、休み時間のほか朝練したり、さらに教科の時間を振り替えて練習させることも常態化しています。
教職員の意識はなぜ変わらないのでしょう?やっていることに対し、疑問を持たない人が多いと感じていました。誰かが言い出したことに素直に従っているのです。学生時に優秀でおりこうさんだった人が教師になっているからなのかな?職場の雰囲気を悪くしたくないということもあるでしょう。
意見を出すのは労力がいることですし、変わり者という烙印を誰も押されたくはないのです。自分の身を守るためには無思考がいちばんの安全策なのです。
学力向上への関心が乏しい教育現場の課題
*「学力を伸ばすところは塾だよ!(小6女子)」
学力について会議や研修で話題になることはまずありません。学力についてディスカッションしている教職員の姿を見たことがありません。全国学力テストの結果など気にしません。
保護者や子どもも、学力は塾でつけるものだと考えています。受験を間近に控えた小6女子との会話で、「先生、学力は塾で伸ばすんだよ。おうちの人もそう言ってたよ。」の言葉は、予想していても、「やはり、そうだろうな…。」です。それが、親や子どもたちの本音です。
中学校では進路指導ができていません。(進路指導するだけのデータを持っていません!「輪切りにしたらダメでしょ!」が中学校の逃げ口上のひとつです。)経済的にゆとりがあれば塾通いもいいでしょうが・・・でも、学校にはいろいろな子がいて、学力を向上させる場と時間を用意しなければならないはずです。教職員もそのことは分かっているはずですが、学力保証ができていません。
その理由として、教職員が多忙すぎることと、学校やクラス間などの成績を比べるのは教育現場ではタブー視され、成績が悪くても公開されることなく、学力保証ができているか評価できないということもあります。
自分の子どもが通っている学校の学力レベルを知っているかと聞かれたらどうですか?
マネジメント層の意識改革と働き方の問題
*見栄えを大切にする社会での管理職のマネジメント力
こういった状況では、教職員の意識を変えながら働き方改革を進められるのは管理職しかいないことになります。意識改革と言っても難しいことをする必要はないのです。
例えば、年間行事を精選し、新年度はじめに教務に提案させるだけです。提案時にあらかじめ削除しておくのがミソです。そうすれば、反対する教職員はそうはいません。心の中では、ゆとりがほしいと思っている教職員のほうが多いからです。改革には痛みが伴いますが、管理職手当分ぐらいはその痛みに耐えるべきです。
また、休み時間は子どもの非認知能力を養う場だということを教職員に共通理解させるのもよいでしょう。まず指導時間を考えた後に、その時間内で何をどのようにどのレベルまで達成できるのか考えられる教職員は、休み時間まで練習していません。活動内容と目標が子どものレディネスにあっておらず、教師の力量が低いので、おのずと朝練などが必要になっているのです。朝練などをすることで自分は頑張っていると勘違いしている教師が現場にはたくさんいます。
指導時間を考えることは、指導の工夫・改善につながり、ひいては自分たちの働き方改革にもつながっていくのですが・・・。
できない教師ほど、多大な時間をかけて、保護者受けする見栄えばかりがよい教育活動を子どもに無理強いしています。また、残念ながら、保護者受けすると管理職の評価が上がりますので、管理職は、できない教師を指導することはありません。そういった管理職や教師が推薦されていくところが教育委員会というところです。
教育ICTの限界と予算・教材・人材の不足
*進んでいるように見えるだけの教育のICT化
多忙な教職員がICT化のための資質を高める時間があるでしょうか?また、ICT化を進めたら、これまでの授業より素晴らしい授業ができるのでしょうか?増える教材研究やそのための労力に見合うものがICT化にあると教職員が考えているでしょうか?
また、電子黒板を導入し、子どもたちにタブレットを配布するとICT化が進むのでしょうか?
残念ながらどれもNoです。
プログラミング教育も始まりましたが、学校現場ではほぼ行われていません。教職員が、プログラミング的思考力を育てるための指導目的や手だてを理解していません。管理職や教育委員会にも指導できる人材がいません。教科書がないので指導書もありません。
タブレットを配布しても、プログラミング教育に使えるアプリがインストされているわけではありません。授業でよく使われるロイロノートやスクラッチは、教職員のスキルとミスマッチです。
マイクロビットやグーグルのブロックリーゲームなどは適しているのですが、その存在すら知られていません。ネット教材は、良質でもファイヤーウォールでブロックされます。仮に、利用可でもセキュリティー面が心配なこともあり、スキルが高い教職員以外は授業に活用していません。
6年理科の教科書にセンサーを使ったプログラミング教材がありますが、センサーが高価すぎて学校予算では買えません(グループ毎に用意すると50万は超えます)。マイクロビットならグループ毎に用意しても全部で10万円もしません。
ICT教育のためにはお金がかかります。そのためには、まず有用性を理解する必要があります。オンライン学習のアプリを児童生徒の人数分のライセンスを導入すると金額は莫大です。有用性の理解が進まず、予算もない状況では学校は導入しません。儲からない教育アプリや教材などを頑張って作る企業も増えないという負のスパイラルに陥っています。
まとめ・CTA(行動喚起)
教育分野で案件を受けるには、「なぜ導入されないのか」「どうすれば実現可能か」を知ることが重要です。現場の実態をふまえた提案こそ、教育業界で信頼されるクリエイターへの第一歩です。
*独学者でも現場課題を理解し、提案力を高めて教育ICT化に貢献するためのステップを踏み出しましょう!


